どんな相手でも一瞬で心を動かす島田紳助の話し方、ポジトーク、褒める技術【久留間寛吉(くるまかんきち)】
最近の人はSNSなどを使い慣れているからか、
褒めるのが上手な人が増えてきた。
LINEならスタンプ、Facebookなら「いいね」はてななら「はてブ」や「スター」、Twitterなら「RT」や「ファボ」で瞬間的にカジュアルに褒める文化が根付いてきている。
当初は相手を中傷してばかりの人もいたが、だんだんそういう人は淘汰されていく。
上手に人に「いいね」を言える人が幸せになれる時代になってきたというのを実感している人も多いだろう。
日本人が人を褒めないなどというのは、昔は紋付袴着て「ちょんまげ」してたというくらい過去の話なのだ。
褒めることで得られる幸福は多い。
褒められて嫌な思いをする人は、ほとんどいない。
人間には共鳴という本能があって、嫌がらせされたら同じことをやり返したいという自分でも気づいてなかった嫌な気持ちを呼び起こされるし、いいリアクションをされたら、相手を好きになり、いいリアクションを返したくなる。
こちらから積極的に好きになってポジっていたら自分もポジってもらえて互いに気持ちよく過ごせる時間が増えるのは自然の摂理。
ただ、ネットではカジュアルに行われている、ポジも、
オフラインの世界では口を使い会話で「いいね」を表現しないといけない。
これが慣れてない僕みたいなオッサン世代になるととてつもなく難しい。
ナンパでも知り合ったばかりの人を「ポジる」というコミュニケーションでもっとも大事な部分で苦戦していたので、何か参考になる物はないか?と考えていた時に手にしたのがこの本。
この本から得れたこと
- 褒める技術について勉強になった
- サプライズで人を感動させたくなった
- 子供を持つのが怖くなくなった
では、本の内容で響いた部分を自分の解釈も入れながら紹介していく。
まずは褒めまくる。
まったく褒めない人より、何でもいいから褒めてくれる人のほうがいい。
ただ良いところを見つけ褒める、それだけでいい。
それだけでは満足しないという人は褒める技術を磨こう、
その1つがタイミング。
タイミングをはかることで相手の喜びは増幅する。
ほめられるべき時に褒めてこそ、喜びは倍増するし、モチベーションも上がる。
さらにそれを倍増させるテクニックがある、それがネガだ。
辛味があるから甘みが活きる。
落として褒める、話術の天才が使うネガ、ポジテクニック
紳助さんの番組で、大食いタレントギャル曽根さんが出ていたのを覚えているだろうか?
ギャル曽根さんは、いつも濃いメークのことでいじられ、チョップまで食らわされる。
目の周辺が真っ黒に見えるメイクを揶揄されて、
「今どこ見てる?」
「白目はどこ?」
とからかわれる定番のネタ、それがネガだ。
そんなギャル曽根さんが紳助さんにほめられる時がある、
食材の試食タイムの時、
「お前は本当にうまそうに食うよな~」
と言って褒める、彼女の満面の笑みを見て視聴者も、おいしそう、自分も食べてみたいと思うはずだ。
紳助の凄いところはここから。
「おいしいものをおいしく食べるだけでなくて、キレイに食べる」
という、ギャル曽根の食のマナーに着目し感心し褒めている。
この美点を、散々弄り倒したネガの後のタイミングで、唐突に切り出す。
大食い、早食いコンテストというと食べ散らかすというイメージがあるが、彼女は違った。
ギャル曽根本人も心がけているマナーだそうで、密かに誇りに思っていることでもあるはず。
自分が誇りに思っている美徳に気づいてくれて、それをさり気なく周囲に宣伝してくれる褒め方、これに喜びを感じない人はいないだろう。
このことから学べること、
→周囲が抱いている誤ったイメージを取り除いたり、人物評価そのものに影響をあたえるようなポイントで褒める。
- 相手を好きになって、観察する。そして本人の陰美徳としているような部分を見つけピンポイントで褒める。
- ネガるときは褒める時。愛の無いネガは駄目絶対。
大相撲の横綱日馬富士が大関だった頃の話。
ボランティア活動に熱心な彼の日常が紹介された。
そのVTRを見た、紳助さんは、彼が現役の力士で、しかも大関(当時日馬富士は大関)という地位にあるからこそ意義があると言って、彼の行動を褒めた。
「現役だからこそ相手も喜ぶ。弱くなって、どこの誰かわからなくなったら、喜んでもらえない。だから相撲でも頑張らなアカン、ってことですよね。」
同意を求められて頷く日馬富士、続けて、
「今、有名やからこそ、やらなアカンのやろね。すると影響力があるから。あの赤ちゃん(日馬富士が募金を呼びかけた、難病を患った子供)にも一億五千万円が集まるんですよ。」
さらに、紳助は、このエピソードに加えて、もう一つの日馬富士に関する持ちネタを、フリートークで披露する。
「特に凄いのは、大阪の名士の方が飲んでいる席にいたんです。そこで大関・日馬富士は何を言ったと思います?
”稀勢の里を応援してやってください”
って。
”23歳のライバルの相撲取りがいるんです。凄い相撲取りなんですよ。相撲界は彼みたいな力士が強くならないといけないんです。みなさんで何とか応援して支えてください”
って。ライバルを応援してるんです。」
こんなに優しいエピソードあるけど、意外なところから、ほかにもあるんだよってサプライズのネタで褒めることでより優しさが際立って見える。
褒められた方も、聞いてる方も感動する。
エピソードにも感動するし、それだけ観察して見ている褒めた方に対しても。
ただ褒める、これをやれる人間は増えてきた。
そこから差をつけるのであれば、このサプライズをいれた「二重に褒める」技術を磨くことだろう。
これが出来るようになるにはやはり相手を心底好きになって観察していないと無理だろう。
感動して心に刻み、その人のフォルダ引き出しに入れておく。
間寛平のロマンに共感した50代男の美学を褒める
これは有名な話だけど、08年末から「世界一周アースマラソン」に挑戦したお笑い芸人の間寛平さん。
旅の途次でガンということは発覚したが無事完走した。
この間寛平さんの気持ちを代弁するように褒めた紳助さんの言葉がこちら
「もう60歳。何か残さなアカンと思って、身体はってパフォーマンスしなきゃあかんと思っているけど、そういうのは本人としてはカッコ悪い。」
「みんな、自分で自分史を作ろうと思てる。30代は何かできると思ってるんですよ。
それが年取ってくると、わかってくる。
これは自分で作らな、もうそんなチャンスないぞと気づく。
50代になると、時間がないことに気づく。そこで自分がやりたいことを見つけたこと、それを実行に移そうとする男の美学。そこに感動したんですよ。」
寛平さんに向けられた言葉だし、寛平さんをかっこ良く褒めてる言葉だけど、聞いてるこちらを勇気づけてくれる。
全方向を幸せにする褒めの技術。
シビアな現実を語って背中を押す
失敗を恐れてチャレンジ精神がモテない、自分に自信が持てない小学生に対して島田紳助さんが語った話。
「ちいさいとき、若いとき、いろんな事に挑戦するけど、ほとんど失敗。
オッチャンはね、スーパーマンと違うたもん。勉強もでけへんかったし、運動もたいしてでけへんかった。凄い嫌な思い出ばかり、6年間。
でもやったというのが大事、そのプロセスが大事。一割ないよ成功は。」
普通ならば、「失敗するかもしれないけど、やってみないとわかない」
ぐらいで背中を押すケース。
紳助さんの場合は
「成功する確率はよくて1割」
というシビアな現実をはっきりと教える。
現実をぼかさず、そのまま伝えることで純粋な子供の心にすっと入っていく。
こういう事を教えてくる人に「でも○○ができる、君ならやれる」と具体的根拠をあげて背中を押されれば、きっと信じて頑張ろうって気になるだろう。
父親がスーパーマンやったらあかん
「お父さん、って威張る。でも、威厳を保とうと思って威張ると、子供はムカつくんですよ。
でも、お父さんの本当の姿を見せる、弱いところも強いところも全部見せる。」
思春期は”常識”というものに対する反感が高まる。
そこで、「父親なんだから」という素振りを強くみせると子供は背中を向ける。
「スーパーマンやったらアカン。世の中にスーパーマンはおれへんけど、(父親として)頑張ってんのや。頑張るいうて、頑張るところを見せるねん。すると大好きになってくれるね。
子供に謝るときは、正座して謝る。
親だって、間違ったことをする。間違った時に、(ゴメンナぁ)って親の立場で謝ると、子供もごまかしながら謝る」
と、紳助さんは同じ立ち位置にあろうとすることの大切さを語った。
僕は片親、母子家庭で育てられてきたので、父親になれるのか?という不安を常に持っていた、これを読んで、なれそうかな?という気がした。
尊敬されないといけない部分もあるだろうが、実力もない部分で年長者だからというだけで威張っているのは確かに反発をうむし、よくない。
最後に
以前読んだ、島田紳助さんの本は、島田紳助さん本人の言葉で書かれた本。
【紳竜の研究】吉本セミナーDVD書籍化 自己プロデュース 島田紳助【感想】
今回読んだ「どんな相手でも一瞬で心を動かす島田紳助の話し方」は島田紳助さんの技術を紳助さんを好きな筆者(久留間寛吉(くるまかんきち))さんが分析し解説した本になる。
東京03問題や、ヤクザとの絡みで引退した島田紳助さんにダーティーなイメージを抱いていて、あまり好きではないという人は途中で離脱することになるかもしれない。
しかし、それでも罪を憎んで人を憎まずという人ならきっと最後まで読めるし得れる部分もそれなりにあるだろう。